- 「モノを減らさずに収納グッズを買ってくる」のは、誰もがやりがちなミス。
- けれど自分で考え、行動することで見つかる発見がある。
片づけを始めたきっかけ
実家暮らしの私の部屋は、一軒家の2階にあります。
間取りは6畳+押入れ。
かつて、私の部屋はモノで溢れていました。
一言で表現するなら「オタク部屋」。
ネットカフェ風の部屋に憧れていたのもあって、本やCD、パソコン、テレビ、ゲーム機など、趣味を満喫できるものが勢揃い。
それらをサイズ違いのスチール棚に載せることで、かろうじて床はキープしていました。
「散らかってはいない。モノがちょっと多いだけ」
「どこに何があるか把握できているし、捜し物をすることもないし」
それが自分の部屋に対する自己評価でした。
私にとっては居心地のよい部屋だったけれど、難点が一つ。
それは掃除が大変なこと。
部屋の右側にあるスチール棚を左側に寄せて、掃除。
そのあと、左側にあるスチール棚を右側に移動させて、掃除。
最後にスチール棚を元の位置に戻したら、やっと掃除完了。
コロコロキャスターがついていても、プリンターや本が載っているスチール棚は重く、いちいち移動させるのは面倒。
でも掃除はしなきゃいけない……。
「楽に掃除をしたい!」
強くそう思ったのは2011年。
30代半ばになって体調を崩すことが多くなり、疲れやすくなったのも大きな要因になりました。
困っていなければ、ヒトは動かない。
困ったことができてようやく動く。
自分の部屋に暮らしにくさを感じたのがきっかけとなって、30代半ばにして私は重い腰を上げることにしたのでした。
片づけ方法と収納アイテムの移り変わり
失敗1.段ボール箱を収納に利用
当時、本棚に入りきらない本や雑誌の収納に使っていたのは、段ボール箱でした。
無印良品のおしゃれな収納ボックスなどではなくて、無地で無味な「ザ・段ボール箱」。
段ボール箱を活用していた理由は3つ。
頑丈・積み重ねが可能・捨てやすい。
ネットショッピングを頻繁にしていた私にとって、商品の発送に使われる綺麗な段ボール箱は、手頃で万能な収納アイテムだったのです。
段ボール箱が汚れたり、形が崩れたりしたら、新しいものに入れ替え。
古いのは資源ゴミの日に出せばいいので、処分も簡単。
一方で、こんなデメリットもありました。
・いろんなモノを詰めこめるので重たくなりがち。
・箱の数がどんどん増えがち。
・普段は押入れにしまいこんでいるので、必要なモノを取り出すのにひと苦労。
何と言っても最大の欠点は、虫が湧く温床になりかねないこと。
定期的に箱を替えているといっても、頭の片隅に一抹の不安が残るのもあって、片づけを機に段ボール収納はやめることにしました。
失敗2.プラスチック製の収納ボックスを大量購入
整理整頓の特集で必ず出てくる、定番の言葉。
「モノの定位置を決めましょう」
「なるほど!」と納得した私は、早速お店に出かけてプラスチック製の収納ボックスを大量購入しました。
このとき私が考えたことを説明すると――
・モノの定位置を決めるには、本棚や押入れに空間を作らないといけない。
・空間を作るためには、大量の漫画やCDを入れる収納が必要。
【結論】段ボール箱はもう使わないから、掃除しやすくて頑丈なプラスチック製の収納ボックスを買ってこよう!
あの頃の私に言いたいことは、ひとつ。
「まず捨てよう」
ヒトはなぜ、「モノを減らす前に収納グッズを買う」という過ちを犯してしまうのか……
反省しつつも、理由はわかっています。
多くの人が、同じ答えを口にするのではないでしょうか。
「私にとっては部屋にあるすべてが宝物で、大切な財産だったから」
「これ以上減らせるモノはない」と思っていた私は、所有している本やCDが全部入るだけの収納ボックスを買いこみ、せっせと積み上げることで部屋に空間を作っていったのでした。
失敗3.CD収納ケース(メディアパス)の誤算
次にしたのは、CDケースを処分してCD置き場をコンパクトにすること。
そのために、コクヨの「メディアパス」を購入しました。
メディアパスとは、CDやブックレットなどを収納できるソフトケースです。
CDケースごと残すのは、特に思い入れのあるタイトルだけ。
それ以外のほとんどはメディアパスに入れ替えて、プラスチック製の収納ボックスにどんどん入れていきました。
不要になったCDケースを燃やせないゴミの日に出したら、空きスペースが広くなり、メディアパスのすっきりした見た目もよくて一石三鳥。
このときの私はとても満足していましたが、あとになって思い知ります。
CDとブックレットだけでも意外と重い。
収納ボックスにひとまとめにすると、なかなかの重量に。
これは大誤算でした。
30代の頃はまだ、「移動させるにはちょっと重い」で済んでいたのですが、体力が衰えてくると、持ち運ぶのが年々つらくなっていきました。
掃除を楽にするためにいろいろ工夫しているはずが、なかなか楽にならず……。
たかが片づけ。
されど片づけ。
そう簡単には思いどおりにいかないものです。
メディアパスに、Blu-rayディスクを入れないようご注意ください。
ディスクを収納する部分は、不織布で作られています。
Blu-rayの盤面は柔らかい素材でできているため、不織布で傷がついてしまい、再生できなくなるおそれがあります。
結論.片づけの要はやっぱり捨て活
部屋の片づけを始めた2011年当時、私がしたのはモノの置き場所を変えたことくらいでした。
処分したのは、調子が悪くなっていたプリンターとスキャナのみ。
本や雑誌は、ほとんど手をつけないまま。
CDも外側のプラスチックケースを捨てただけ。
それでもモノが密集していた頃に比べると、部屋はかなりマシな状態になりました。
その後どうなったかというと――
私は結局、趣味のモノを多く手放しました。
40歳を過ぎた頃に体を壊したのをきっかけに、「大量の本やCDを管理できない」と痛感したからです。
せっかくメディアパスに入れ替えたCD類も、残したのはほんの一部。
本や雑誌は、「残す・手放す」の判断をするために一冊ずつ目を通しました。
10代の頃から買い集めてきた作家さんの漫画。
長編シリーズで巻数の多い小説。
推しが載っている雑誌。
改めて読み直してみると、「もう手放していいかな」と思える作品が意外とあるものです。
年齢的に切実なのが老眼。
特に文庫小説は、覚悟していた以上に読みづらく、目が疲れやすい……
残す手放すの選択以前に、「読めるうちに読書を楽しんでおかないと」と胸に刻みました。
本やCDを手放したことで、収納ボックスやメディアパスは次々と中身が空に。
それらを眺めながらしみじみと思いました。
「捨て活から始めていたら、大量の収納グッズに1万円以上も使わずに済んだのに」
一方で、別の思いもありました。
「段階的に少しずつモノを減らしていくことは、私には必要な時間だった」
時間をかけることで、自分が管理できる適正量を少しずつ把握できた。
モノの一つひとつと向き合いながら、納得いく形で手放せた。
「片づけたい!」という勢いと意欲だけで処分しなくてよかった。
この段階に至ってようやく、「時間はかかってもいいから、後悔の少ない片づけをしたい」と自分なりの方向性を見つけることができたのでした。
まとめ
「失敗」ではなく「試行錯誤」
効率的に片づけるために収納グッズを買ったはずが、気づけば散財と遠回りをするはめに。
「効率的ではなかった」という意味で「失敗」と表現していますが、自分なりに試行錯誤したのは悪いことではなかったと思っています。
本や動画を参考に実践してみて、「なんか違う」と思ったらやり直せばいい。
「失敗」ではなく、前向きにチャレンジした結果。
そのときにした判断や行動は、決して「無意味」「無価値」なんかじゃない。
心からそう思います。
部屋の片づけは、まだまだ道なかば。
暮らしやすい部屋づくりのための試行錯誤を、これからも楽しみたいです。
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